大洲市肱川の湾曲部に建つ臥龍山荘は、明治三十年から十年をかけ、九千人もの職人を動員して完成した数寄屋建築の傑作である。木蝋貿易で財を成した豪商河内寅次郎が京都の桂離宮を模して造らせた別荘で、約三千坪の園内に臥龍院、不老庵、知止庵の三棟が点在する。借景として肱川と冨士山を取り込み、竹林を抜けると苔むした露地が広がる。不老庵は清水寺の舞台を思わせる崖造りで、肘掛け窓から肱川の清流と鵜飼いの篝火が見える。四季折々の美しさがあり、春は藤、秋は紅葉、冬は雪景色が美しい。二〇一一年にミシュラン・グリーンガイド・ジャポンで一つ星を獲得し、国の重要文化財に指定されている。ガイド付き見学は約三十分五百円、九時から十七時まで、予約不要だが団体は要連絡である。雨上がりの苔の輝きが特に美しく、写真愛好家にも人気の撮影地となっている。茶室では抹茶体験も可能である。 肱川流域の水運と木蝋産業の歴史を伝える展示室も併設され、大洲藩の産業遺産と数寄屋建築の関係を学べる。大洲城や少彦名神社と組み合わせた町歩きコースが推奨されている。 地元ボランティアによる無料ガイドや多言語パンフレットも整備され、外国人旅行者への案内が充実している。訪問前の公式サイト確認とマナー遵守が、より深い体験につながる。