鹿児島県奄美大島は九州本土から南へ約380キロ、沖縄本島との中間に位置する鹿児島県最大の離島で、面積約712平方キロメートルの亜熱帯の島であり、徳之島、沖縄島北部、西表島とともに2021年7月に世界自然遺産に登録された。島の総面積の約85パーセントが森林に覆われ、中央部には湯湾岳694メートルを最高峰とする山地が連なり、山腹から流れ出る数十本の河川が作る河口部に国内第2位の規模を誇るマングローブ原生林が広がる。住用町と黒潮の森マングローブパーク周辺の約71ヘクタールは西表島に次ぐ規模で、カヌーで迷路のように入り組んだトンネルを抜けると野鳥の鳴き声や静寂に包まれる原生の世界が広がり、天然記念物のオヒルギ、メヒルギが板根を広げて潮汐に耐える姿は亜熱帯の生命力を象徴する。島は日本で最も早く黒潮の影響を受ける暖流域にあり、年間平均気温は約21度、年降水量は約3,000ミリと温暖多雨で、アマミノクロウサギ、ルリカケス、オオトラツグミといった国指定特別天然記念物が生息し、奄美固有種率は極めて高い。奄美の集落はサンゴ礁の浅瀬を活用した漁業とサトウキビ畑に囲まれ、加計呂麻島や請島、与路島などの属島が周囲を取り囲む。奄美の食文化では鶏飯が代表的で、ほぐした鶏肉や錦糸卵、椎茸を白飯に乗せ、丸鶏のスープをかけて食べる宮廷料理由来のもてなし料理として知られ、道の駅や空港LeTAOなどの土産コーナーでもレトルト鶏飯が購入できる。島の中央部の金作原原生林はアカヒゲやオーストンオオアカゲラの営巣地として保護され、ガイド同行でのみ入林が許可される。海ではミステリアスサークルを描くアマミホシゾラフグの産卵床も観察され、夜の森ではガイドが星空とともに夜行性生物の観察ツアーを行う。亜熱帯の森とサンゴ礁の海が共生する奄美大島は持続可能なエコツーリズムの最前線として注目されている。