祖谷のかずら橋は徳島県三好市西祖谷山村善徳の祖谷川に架かる、シラクチカズラで編まれた原始的な吊り橋で、国指定重要有形民俗文化財かつ日本三奇橋の一つである。長さ四十五メートル(45m)、幅二メートル(2m)、水面からの高さ十四メートル(14m)、全体の重さ約六トン(6t)の蔦だけで作られ、橋床は丸太を粗く並べたさな木で隙間から渓谷が見える構造が強いスリルを生む。起源には二説あり、一つは弘法大師空海が村民の往来のために架けたという伝承、もう一つは壇ノ浦で敗れた平家の落人が追手から逃れるため、いつでも切り落とせるよう蔦で架けたという平家伝説である。最古の文献は一六四六年の阿波国図に七橋、一六五七年の祖谷紀行に十三橋の記録が残り、山深い交通路として不可欠だった。大正時代に一度鋼線吊り橋へ架け替えられたが、一九二八年に観光振興で葛橋が復元し、現在は安全のため内部に鋼線を通しつつ外観は葛で包む。年間約三十五万人が渡るため老朽化が早く、三年ごとに約一か月かけて架け替え(3年架替)が行われ、材料の葛は高知県産のシラクチカズラを細く撚り合わせて使用する。春の新緑、夏の深緑と清流、秋の紅葉、冬の雪化粧とライトアップまで四季の景観が美しく、写真は揺れを抑えるため低姿勢で床板を入れ、対岸の古木と撮るのが定番。アクセスはJR大歩危駅から四国交通バスで約三十分、駐車場はかずら橋夢舞台から徒歩五分、入場は大人五百五十円、小学生三百五十円である。